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【日曜経済講座】編集委員・田村秀男 日本はマネー敗戦

http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/100815/fnc1008150753001-n1.htm

日銀による株式購入も一案

 昭和天皇の玉音放送を聞くや、後に首相となる宮沢喜一氏ら大蔵省(現・財務省)の官僚は倉庫に走り、ほこりにまみれた英文タイプライターを引っ張り出した。以来、連合国軍総司令部(GHQ)と掛け合いながら日本円の価値復活に向けて奮闘し、4年がかりで円の対ドル・レートを360円と設定した。それから65年。円は15年前に続き1ドル=80円に向かっている。

 ≪カネが回らない≫

 日本の敗戦後と現代を比べるのはむちゃなようにみえるが、ひとつだけ共通点がある。カネが回らないことだ。国の経済を人体にたとえるとカネは血液であり、循環しなければ死に至る。終戦から数年間、円は戦中の乱発で紙切れと化していたため、流れないのは当然といえる。

 現在、円は価値も量も、上昇を続けている。日銀は「カネは十分ある」とみなしてお札を刷らない。

 対照的に米国は2008年9月のリーマン・ショック後、ドル資金を大量発行し、ドル安政策を取っている。円高で「日本企業の収益を圧迫する」として株は売られ、代わりに国債が買われる。カネの流れはそこで行き詰まる。カネのストックである現預金残高(金融用語でM2と呼ぶ)は毎月、前年比で二十数兆円増え続けている。銀行は毎月、10兆円前後貸し出しを減らし、30兆円前後も国債を買い増している。国民が働いてためたカネは、国債という冷凍庫にお蔵入りしていく構図が透けて見える。

 しかし、政府は国債発行で得た国民の貯蓄マネーをデフレ克服に振り向ける術(すべ)を知らない。デフレ不況の日本は、生産能力に対し少なく見積もっても30兆円の需要が不足している。カネがあり余っていても、このギャップを埋め合わせるカネはないのだ。円高・株安を端緒とする“負の連鎖”は日本列島を覆う。消費者は消費を、企業は設備投資を減らし、その結果、雇用が失われていく。

 政府と日銀の無策は、敗戦時のような経済の荒廃を招いている。いわば、マネー敗戦である。それなのに再生と復興に向けた決意が菅直人首相、白川方明日銀総裁には見当たらない。

 民主党政権の幹部はひたすら「政府と日銀の協調」という言葉を繰り返し、白川総裁は「円高は企業マインドの下ぶれ要因だ」などと発言している。まるで三流評論家である。

 では、どうすればよいのか。

 円高・株安基調を止め、株式市場にカネが流れ出すよう仕向けるしかない。このことは7月18日付の小欄「瀕死(ひんし)の日本株式市場、即効薬は円安誘導」でも論じたが、その後も政府・日銀は無為無策を続け、周知のように事態は悪化の一途をたどっている。

 国債がここまで買われるのだから、政府は大胆で賢い財政支出拡大と公共投資に踏み切り、需要を創出すべきだ。だが、国内総生産(GDP)の2倍近い公的総債務におじけづいて「ギリシャの二の舞い」ばかり気にする菅政権の手ではとても無理とみるしかない。そもそも、財政出動の効果が出るまでには時間もかかる。

 ≪資産市場復調が左右≫

 重要なことは、カネが回るという一点に尽きる。リーマン・ショックで明らかになったことは、カネの流れを大きく左右するのは株式、金融商品や不動産という資産市場であるということだ。

 市場バブルが崩壊してしまうと銀行は萎縮(いしゅく)してカネを回さず、企業は雇用を削減し、消費者はモノを買わなくなる。資産市場をよみがえらせない限り、カネの流れは凍りついて溶けそうにない。

 日本の場合、06年後半の日銀のゼロ金利政策解除と量的緩和政策の打ち切りを契機に始まった円高がデ
フレを深刻化させているさなかに、リーマン・ショックの大津波に襲われた。何度も繰り返す。日銀の不作為の罪は極めて大きい。

 政府・日銀が何もしなければ円高はさらに進行しよう。米国は米国債市場が安定していれば「ドル危機」とはみなさない。むしろドル安を放置し、米企業の輸出を後押しするつもりだ。円高を食い止める直接の手段は政府による外国為替市場への介入による円売り・ドル買いだが、米国が同調する可能性は少ない。日本が単独の市場介入に追い込まれても効果は限られる。

 そこで、日銀の出番が来る。日銀は政府の円売り介入に合わせて、たとえば日銀資金による株式の大量購入という「非伝統的金融政策」に踏み切るべきだ。

 米連邦準備制度理事会(FRB)が住宅ローン担保証券(MBS)を100兆円分購入し、住宅市場完全崩壊と金融恐慌を防いだ前例もある。日本では株式市場を対象にすればよい。日本の株式は紙くず同然で値の付かなかったMBSより「優良資産」である。このほかに妙案があるだろうか。

金融経済ラジオ・第17回/ついにドル円安値更新!底が見えない円高ドル安!その背景とは?

http://www.cyberuls.com/hashimae/2010/08/7.html

(コメント覧がおもしろいです。参考に)
日本は900兆円の国債残高があるのだから日銀はそれだけ資金放出余力があるとも言える。

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